子どもの頃の私にとって、山は山菜採りと遊びの場でした。
春になると、母と一緒に近くの山へわらびやぜんまいなどを採りに行き、
秋にはきのこなどの山の恵みを探しに入るのが楽しみでした。
父はもっと深い山に行き、ミズを採って来ていましたね。
いわゆる登山と呼べる経験は、中学生の時。
行事で鳥海山に登ったのが初めてだったと思います。
鳥海山はかっこいい山だよね。と夫はいいます。
しかし、当時の私にはその登山はまるで苦行のように感じられました。
前方を連なって歩く同級生のジャージ姿だけが記憶にあり、
山登りは苦しいものだという思い込みがずっと燻り続けることになりました。
一方、夫は山が好きで若い頃はよく登っていたようです。
結婚してからも何度か山に行っていましたが、
ここ数十年はすっかり遠のいていました。
山仲間も高齢になり、本人も超多忙なこともあったのかもしれません。
でも、私が山登りに興味を示していたらきっと違っていたんだろうと今になって思います。
登るのを敬遠していても、山には惹かれます。
山の写真を見るのは好きですし、「にっぽん百名山」など、山番組も観ます。
山について書かれているブログも好んで拝読しています。
そんな私が、昨年の夏、夫と一緒に福島県にある安達太良山に登りました。
記憶では頂上まで登った山としては、二つ目の山です。(鳥海山を除く)
その時は家族5人で登り、生後半年に満たない末っ子を抱っこして登りました。
安達太良山は、山小屋までは登りやすく、小屋を過ぎるとガラリと様子が変わり、
険しい表情になったのが印象的でした。
変化に富んでいるのが魅力の一つに感じました。
山頂に着いた時は達成感でいっぱい。
でも、天候が崩れ始めていたのでゆっくりできませんでした。
強い風に煽られながら、その場にいた人に撮ってもらった写真が一枚だけあります。
(iPhoneのバッテリーの劣化で減りが早く、頂上での一枚でとうとう電池切れに。)
下山は強い雨の中をひたすら歩くことになってしまい、途中からロープウェイを使いました。
山が強く印象に残るのは、自分の足で苦労して登るということもありますよね。
岩木山も安達太良山も大変なところもありましたが、壮大な景色が記憶に残り、楽しい思い出になっています。
鳥海山では、なぜあんなに苦しいだけに感じたんだろう。
山を知らないがために甘くみていたからでしょうか。
先月、長野県の北横岳に行ったことをブログにも書きました。
山は夫からの誘いです。
自分の体力と(高齢ですから)私の経験のなさ(ともちろん年齢も)を考慮して、ゴンドラやロープウェイを利用できる楽に登れるところを選んでいます。
北横岳で下山の時に体力が落ちていることを自覚した夫から、身体に少し負荷をかけたいから月に一度山に登ろうと提案がありました。
まだまだ山登りに対しては及び腰な私ですが、歳の離れた夫と過ごせる残りの時間を想うと、提案に乗らないという選択はありません。
還暦過ぎからの山登りの始まりです。